腎臓には、さまざまな働きがありますが、最も重要なのは「尿を作る」働きです。
血液は、体の各細胞に栄養や酸素を運び、細胞から不要になった老廃物を、交換として受け取ります。腎臓に送られてきた血液は、細い血管でできた小さい網が毛糸のように巻いている「糸球体」と呼ばれる所でろ過され、老廃物は尿として排出されます。老廃物が取り除かれ、体に必要な成分、たとえばタンパク質や赤血球や白血球・その他ミネラル類などは、ろ過されずまた体内を廻るのです。
高血糖状態が10年〜20年と続くと、糸球体は傷ついてもろくなり、本来ならろ過されるはずのない、体に必要な血液中のタンパクが糸球体で漏れ出すにようになります。病気が進行すると、ほとんどの糸球体がつぶれて「腎不全」となり、血液中の老廃物をろ過することができないため、血液中に老廃物が蓄積していきます。
糖尿病性腎症とは高血糖が続くことにより、腎臓の機能が損なわれてしまう病気です。
糖尿病性腎症は、初期には尿に微量のタンパク尿(微量アルブミン尿)が出るのみで、ほとんど自覚症状は現れません。この場合、通常の尿試験紙ではタンパク尿としてとらえられませんが、尿中のアルブミンを精密に測定すると検出できます。微量アルブミン尿の検査は蓄尿して行うのでめんどうなため、随時尿のアルブミン/クレアチ二ン比でチェックしている専門医もいます。
微量アルブミンが出はじめた時期から、持続的タンパク尿がでるまでの時期が、非常に大切です。この時期に適切な治療を受ければ、腎症の進行をくい止めることが十分可能だからです。また血液検査で、血液中の「クレアチ二ン」という老廃物の一種の値を調べ、値が高くなっていないかどうか調べます。血清クレアチ二ン値を基に性別、年齢などを加味した計算式に当てはめると、腎臓の機能が推定できます。
検査結果を慎重に読み取り、自分の体の状態を把握するこが大切です。
糖尿病で血糖コントロールが思わしくない方は、先を見据えて、食事療法・運動療法を見直し、またそれだけでは不十分で薬物療法を受けている方は、薬が充分生かされているか確認することが大切です。
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