タバコの害と禁煙方法
現在、日本の成人男性における喫煙率は約3割です。決して健康に良いとは言えないタバコ。様々な毒素が含まれ、中毒性がありなかなか止められないものです。
○タバコの有害物質とは?
タバコ煙中には200種類以上の有害物質が含まれています。代表例はニコチンで、薬物依存症になるほか、心拍数の増加、血圧の上昇などが起こります。その他、一酸化炭素は、赤血球中のヘモグロビンと結びつき、酸素の運搬を妨げ、脳や全身の細胞に酸素不足をもたらします。タールには10数種類の発がん物質が含まれています。
○ニコチン依存症
日本では、喫煙者の半数以上がニコチン依存症だと推測されています。ニコチンは吸い込まれると、数秒以内に脳に達し、脳内で神経伝達物質と同じような働きをします。脳にニコチンが送られ続けると、本来の神経伝達物質が少なくなり、ニコチンなしには脳が以前のように働かなくなります。そのため、ニコチンが切れると、落ち着かない、イライラするなどの禁断症状が現れるのです。タバコとはニコチンを供給する装置で、喫煙はニコチンを脳に送り込む行為です。
○喫煙の害
日本における喫煙による死亡者は、毎年11万人以上といわれています。そのうち7万人ががんで、2万人が心臓疾患で亡くなります。なお、肺がんによる死亡は8割(5万人)がタバコによるものです。咽頭がんになる人はほとんどが喫煙者です。喫煙者の2人にひとりはタバコが原因で亡くなっているといわれています。
また、タバコを吸わない人がタバコの煙を吸わされる「受動喫煙」も問題です。年間2万人が、いわば「他人のタバコで命を落としている」状況といわれ、目や鼻への刺激、頭痛等の急性影響や、不快感、ストレスなどの精神的被害を受けています。
○「軽いタバコ」に変えれば健康に良い?
タバコのパッケージにはニコチン・タール量の表示がありますが、数値が低いタバコに変えても健康へのメリットは期待できません。表示量はタバコの煙を測定器で数値化したものです。軽いタバコではフィルターに穴があけてあるため周囲の空気を吸い込み、煙は薄められ、測定値は低く出ます。しかし実際は、喫煙者はフィルターの穴を指や唇でふさいでしまうため、煙が薄まらないことが多いのです。
○タバコにメリットはあるか?
本当に吸うメリットは何もありません。「ストレスが解消できる」という人が多いですが、ニコチン切れの禁断症状でイライラするのがタバコを吸うことによって収まるだけのことです。むしろ、タバコがストレスを作り出しているといえます。
○禁煙方法
1.禁煙外来を活用しましょう
ニコチンの離脱症状が強い等一定の要件を満たす方は、医療保険でパッチ剤や内服薬での治療が可能です。治療は5回程度の通院が必要で、治療費は保険3割負担で2万円前後です。ただし、内服薬での治療中は、眠気・ふらつき等が出ることがあるため、自動車等の操作はできません。「禁煙治療に保険が使える医療機関」は、日本禁煙学会ホームページで紹介されています。受診の際は必ず医療機関へ電話確認をしてください。
2.パッチ剤や禁煙補助薬を薬局店頭で購入
禁煙の手助けをする医薬品としてパッチ剤やニコチンガムがあり、薬局で販売されています。禁断症状を防ぎながら禁煙を達成するために用いますが、誤った使い方をするとニコチンを過剰に摂取することになるため、薬剤師や医師の指導のもと使用しましょう。
お薬を後発品(ジェネリック)に変更したい方は、薬剤師に遠慮なくご相談ください。
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