「平均寿命」では、長年世界のトップに位置する日本の高齢者。「健康寿命」−日常生活が制限されることなく自立して生活ができる期間−をどのようにのばしていったらよいのでしょうか。ひとりひとりできることは?
要支援・要介護になる原因は、運動の障害(ロコモティブシンドロームなど)が25%、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)が19%、認知症16%、高齢による衰弱が13%という結果がでています。(厚生労働省の調査)
このなかでも、認知症とは、認知機能が低下する病気のことですが、危険因子として運動不足があげられています。認知機能とは、物事を記憶する、言葉を使う、計算する、問題を解決するために深く考えるなどの頭の働きを指します。この認知機能をつかさどる脳を衰えさせないように、運動することが提唱されています。ロコモティブシンドロームや、脳血管疾患の予防にも、適切に体を動かすことは大切なことです。
運動を継続して行った人は、運動していない人と比べて、記憶力が向上し、認知機能をつかさどる脳の「海馬」の委縮が、抑えられるどころか体積が増えたという研究成果が知られています。運動としては、特に有酸素運動や二重課題運動が効果的ということです。
有酸素運動として、
1回30〜40分、息がはずむ程度の強さのウォーキングを週3回続ける程度の運動がすすめられています。
二重課題運動(デュアルタスクエクササイズ)とは、
頭を使いながら運動をすることです。
ウォーキングの場合、歩きながらひき算をする、会話をしながら歩く、歩きながらしりとりをするなど、単に歩くだけにしないで頭をつかいましょう。また、100から順に7をひいて93→86→79・・・などと計算しながら踏み台昇降をするのもおすすめです。
生活習慣病のなかでも高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病などの治療をしっかり行い、日常の生活習慣を変えることで健康寿命をのばすことは不可能ではありません。楽しく運動を続けていきましょう。