寒い冬、ゆっくり体を温める入浴時間は、疲れを癒すリラックスタイムです。
一方で、冬場に増える、入浴による事故死の大部分は、65歳以上の高齢者といわれ、注意が必要です。冬の寒い脱衣所で裸になると、急に体表温度が下がり、逆にお湯につかると、体温が上がります。この急激な温度変化が血圧の急変をもたらし、失神して浴槽内で溺れたり、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などにつながったりします。
安全に入浴するために
○入浴前に脱衣所や浴室の温度差をなくしましょう。
脱衣所に暖房器具を置く、しばらく浴槽のフタをあけておく、など全体を温めましょう。浴槽に入る前に、心臓から遠い足のほうから、5〜6杯のかけ湯をして、少しずつ温めてから入りましょう。
○お湯の温度は41度以下、湯につかる時間は15分程度以内に。
お湯に入った直後は、血管が収縮し、血圧が上昇します。その後、10分くらいたつと血圧は下がってきます。急激な血圧上昇を避けるため、お湯の温度は「41度以下」が推奨されています。また、のぼせ状態から熱中症をおこす危険を避けるため、湯につかる時間は15分以内にしましょう。
〇浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
お湯の中で水圧がかかっている状態から、急に立ち上がると、圧迫されていた血管は一気に拡張します。この時、脳への血流が減り、一過性の意識障害をおこすことがあります。浴槽から出る時は、手すりや浴槽のヘリにつかまってゆっくり立ち上がりましょう。
〇他に注意すること
食後すぐや、飲酒後の入浴は、血圧が下がりすぎて危険です。深夜や早朝は、気温が低くなることと、他の人が気付きにくくなるので、注意しましょう。
お風呂で異常を感じた時の対応はすばやく
気分が悪くなったり、立てなくなるようなら、すぐに同居者に大声で助けを求めましょう。同居者は、浴槽の栓を抜き、
入浴者を浴槽内から救出し、
救急車をただちによびましょう。いざという時のために、救急救命の講習を受けておくと安心です。