ビタミンDはカルシウムや骨の代謝を調節して丈夫な骨を維持する栄養素です。ビタミンDが不足すると、骨の成長が阻害される「くる病」や、骨がもろくなる「骨粗鬆症」になることが知られています。かつて、「くる病」は、日照時間が短い冬期や食料事情が悪い地域に発生しましたが、食生活が豊かになり、ほとんど見られない病気となってきました。ところが、近年、乳幼児に「くる病」が増えていると報告があり、ビタミンD不足が問題となってきました。ビタミンDは食べ物から摂る以外に紫外線を浴びることによって皮膚の下で作られますが、紫外線は肌のシミや皮膚がんの原因になることから敬遠されがちです。また、過度のダイエットによる食事制限でビタミンDが不足した女性の妊娠・出産が乳幼児のくる病と関係しているとも考えられています。
【骨代謝以外のビタミンDの多彩な効用】 ●インフルエンザや風邪予防 細菌やウイルスに対する抗菌タンパクを作らせる働きがあります。 ●花粉症やアレルギー症状の改善 抗菌タンパクを皮膚上に作らせ、バリア機能を高めます。 腸粘膜を丈夫にし、アレルギー物質が体内に侵入するのを防ぎます。 ●
脳の健康維持 活性酸素や毒素など有害物質を解毒する作用を強化します。 ●精神疾患の発症の予防 心や神経のバランスを整える脳内物質セロトニンを調節します。
【ビタミンDを効率的にとる方法】 健康を維持するために必要な1日当たりのビタミンDは、15μgと推定されています。食事からの摂取量は成人でおよそ5.5μgのため、紫外線による生成量が約10μg必要となります。
@適度な日光浴(1日15分程度) ガラス越しは効果がありません。季節や地域に合わせて、できるだけ1日1回、無理なら週に3〜4回程度、太陽を浴びる事を習慣にしましょう。正午前後に日が当たるところに出て、手のひらだけでも日光浴をしましょう。
A魚の摂取 サケやマグロ、サバなどはビタミンDの含有量が多くカルシウムを含む食材と一緒に摂ると効果的です。
B 日光に当てたきのこ類 きのこ類は日光に当たるとビタミンDが増加します。調理する前に笠のヒダの面に1時間程度日光に当てるとよいようです。特にマイタケ、干しシイタケ、キクラゲはビタミンDの含有量が多いきのこです。また、ビタミンDは脂溶性のため、油で調理すると効率的に摂取できます。
※脂溶性のビタミンDは体から容易に排出されないため、サプリメントで補充する場合は、過剰摂取となる可能性もあるので、ご利用の際は医師、薬剤師等にご相談下さい。
|