認知症は、正常であった記憶や思考などの能力が脳の病気や障害により低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態です。症状によりいくつかに分類されますが、85歳以上の4人に1人が認知症と推計されており、高齢社会の日本では認知症が今後ますます重要な問題になることは明らかです。また、若くても認知症を発症することがあり、65歳未満で発症した認知症を若年性認知症といいます。
【認知症の症状】
代表的な症状をまとめました。症状の出方は個人によって異なり、また、対応する人や、日時によっても異なると言われています。
【間違った接し方】 叱る・否定する・無視するはNG
認知症の方は、記憶などの機能が衰えても、感情の機能は衰えていません。何について怒られたのかは忘れても、不快な気持ちにさせられたことは覚えているし、褒めてもらえば嬉しいのです。
【正しい接し方】
認知症の方の言動の裏には何かしら不安を抱えている場合があります。自分勝手な都合を押し付けるのではなく、言葉をよく聴いて、不安な気持ちを取り除くようにしましょう。また、無理強いや急な環境変化は、ストレスの元になります。リラックスして過ごせるよう環境を整えましょう。
【認知症の人に接するとき、ぜひ心にとめておくこと】
その人の人生は連続しているので、認知症になったからといって、突然、人が変わるわけではありません。その症状には波があり、調子のよい時もあればそうでない時もあります。
「認知症の本質は暮らしの障害」と言われています。何もわからないと決めつけないで、その人の言葉をよく聴いて、時間がかかることを理解して、暮らしの支えになるよう手を差し伸べて下さい。
【介護疲れや介護うつになる前に! 専門家に相談を】
介護者の心身が壊れてしまったら、認知症の方にとっても不幸です。自分や家族だけでは限界を感じたら、専門家に頼りましょう。認知症に関することは「地域包括支援センター」へ相談してみましょう。また、大きな病院にはソーシャルワーカーがおり、相談に乗ってくれます。
【認知症行動への対処法 こんな時どうする?】
〇「ご飯を食べていない」と言われたら
「今準備しているから先にこれを食べて待っていて」と言って、フルーツやお菓子などを出すのが良いでしょう。
〇「〇〇が盗まれた」と言われたら
「それは大変!」と共感しましょう。一緒に探す時は、すぐに見つけてしまうと「やっぱり盗んで隠した」と思い込んだりすることもあるので、本人が見つけられるように誘導するのがコツです。
〇勝手に外に出かけようとするとき
徘徊は、安心できる場所を求める行動のようです。邪魔されぬようこっそり出かけます。このような時には、「送りますよ」など声をかけて一緒に歩き、折を見て「そろそろ帰りましょうか」と誘導してみて下さい。迷子になってしまった場合に備えて、洋服・靴等に目立たないように連絡先を記載するのも良いでしょう。
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