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昨年12月、厚生労働省は、誤解や偏見をなくすために従来の 「 痴呆 」 を 「 認知症 」 と変更しました。「 認知症 」 とは、何らかの原因によって、大脳の神経細胞が広範囲に障害され、本来あった脳の認知機能が著しく低下した状態のことです。認知症の原因は多種多様ですが、主なものは、 「 脳血管性 」 と 「 アルツハイマー型 」 の 2つです。 |
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高血圧や糖尿病、高脂血症などが原因で脳の動脈硬化が進み、ついには脳梗塞や脳出血がおこると、脳細胞に十分な血液がいきわたらず、部分的に機能が失われてしまいます。その結果として起こる病気です。8割くらいは、脳梗塞や脳出血による脳卒中のあとの後遺症として起こり、残る 2割は小さくて明らかな症状を起こさないような脳梗塞が次第に増え、起こる場合もあります。 |
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原因はよくわかっていませんが、脳の神経細胞が障害され、脳に特有の変化が起こり、萎縮 ( ちぢむこと ) が起こる病気で 「 アルツハイマー病 」 とも呼ばれます。 |
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年をとると 「 物忘れ 」 が多くなったと心配する人も多いと思いますが、「 認知症 」 の場合、次のような特徴があります。 |
食事をしたかとか、お風呂に入ったかという体験全体を忘れる。
- 物の名前だけでなく、物ごと自体も忘れる。
- 簡単な計算が出来なくなる。
- 人や場所、時間を正しく認識しにくくなる。
- 集中力がなくなり、面倒なことを避けるようになる。
- 着衣を正しい順序で身につけられない。
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ここで、「 認知症 」 について簡単な質問があります。 |
正しいと思うなら ○ 、間違いなら × で答えて下さい。 |
(1) |
中高年でおこる物忘れは、認知症の始まりだ。 |
( ) |
(2) |
認知症には予防できるものもある。 |
( ) |
(3) |
いったん認知症になったら、進行を遅らせる手だてはない。 |
( ) |
(4) |
認知症の場合、早期発見してもあまりメリットはない。 |
( ) |
(5) |
ほかの病気でも認知症と似た症状が出ることがある。 |
( ) |
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*認知症の対処法 |
脳血管障害による認知症は、その原因となる脳梗塞などの予防を心がければ、ある程度防ぐことは出来ます。また、認知症の約半数を占めるアルツハイマー型の場合、症状が悪化してしまう前に 「 早めに 」 発見・対処すれば、症状の進み方を遅らせることが出来ますし、最近では治療薬の研究も進んでいます。認知症に関する相談は、普段から本人のことをよく理解しているかかりつけ医や専門医 ( 精神科、神経内科、老人科、脳神経外科、 「 もの忘れ 」 外来 ) 、またお住まいの市町村の高齢福祉窓口か保健所へ問い合わせるのもよいでしょう。 |
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#質問の答え |
(1) |
( × ) |
自然な老化による物忘れと、認知症の物忘れとは別もの。 |
(2) |
( ○ ) |
下地となる病気を予防すれば防げる認知症もある。 |
(3) |
( × ) |
適切な治療で、進行を止めたり、遅らせたりできる。 |
(4) |
( × ) |
治療のためにも、適切な介護のためにも早期発見が大切。 |
(5) |
( ○ ) |
うつ病などでは、認知症と紛らわしい症状が出ることもある。 |
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