毎年、冬の時季になると、嘔吐や下痢を主症状とした「胃腸かぜ」などとも言われる感染性胃腸炎の患者さんが増えてきます。
その原因は、細菌、ウイルス、寄生虫など様々ですが、冬場に発生する感染性胃腸炎の多くは、ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)が原因です。
幼児や高齢者など抵抗力の弱い人が感染すると重症になることがあり、場合によっては命を奪ってしまうこともあります。
症状
主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱を伴うこともあります。
嘔吐、下痢が続く場合は、脱水にも注意あ必要です。
感染経路
--経口感染--
ノロウイルスは、感染者の便と嘔吐物に多く含まれていて、さまざまな経路を経て人の口に入ります。
●人から人へと感染する経路
感染者が触れた便座、ドアノブなどに触れることで、手を介して口に入ります。
また、乾燥した嘔吐物や便からノロウイルスを含むほこりが舞い上がり、周囲の人の口に入ります。
●食品とともに口に入る経路
生のままや、加熱不十分なかきなどの二枚貝を食べて感染することがあります。
また、ノロウイルスが付着した手で調理や配膳を行うと、食品にノロウイルスが付着し、それを食べた人が感染します。
治療法
現在、ノロウイルスに対する特効薬はありません。脱水や体力の消耗を防ぐために、できるだけ水分をとって、消化のよいものを少しづつ食べるようにしましょう。
水も飲めないほど、嘔吐や下痢がひどい場合は、点滴が必要です。
下痢止めは、ノロウイルスが便として排泄されるのを遅らせるので、必ずしも使うとは限りません。

予防法
●調理や食事をする前、トイレの後に、石けんでよく手を洗いましょう。
●かきなどの二枚貝を食べるときは、十分に加熱します。85℃の熱で1分以上加熱し、中までよく火を通してから食べるようにしましょう。
●まな板や包丁などの調理器具が、ほかの食品を汚染して感染源となることがあります。使用した調理器具をよく洗い、熱湯や塩素系の消毒剤で消毒してから、ほかの調理に使うようにしましょう。
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ノロウイルス感染症を身近な感染症の1つとして考え、できるだけ感染を広げないように、予防対策をとることが大切です。 |